防水と撥水の違い、知ってますか?


突然ですが、皆さん”防水”と”撥水”の違いってご存知ですか?
これ結構、知らない人が多いんですよね。
実際、アウトドアショップに働いてた時に”嵩張らないし軽いし、雨降ってきたら、撥水加工してるやっけ(ウィンドブレーカー)ぐらいでしのげるでしょ?”と言う登山初心者の人も多かったのも事実。
私、その度に”(低体温症)死にますよ”と、ストレートに言ってました。笑

まずは”撥水”について
簡単に言うと、”撥水”って、素材表面に無数の微細の毛が処理されていて、雨粒が浮いている状態
公園の池にある蓮の葉が、雨粒を弾いている原理。ロータス原理というらしいです。
某アウトドアメーカーのカタログにも書かれていますが、芝生の上にゴルフボール置いても、無数の芝生がゴルフボールを支えているので、ボールは直接地面に届くことはありませんよね。
表面の手触りも、すこしサラサラしてる感じ。

じゃあ、”撥水だけでいいじゃん!”と思う方も多いと思いますが、雨天時環境においては、
次から次に大小の雨粒は降ってきたり、雨・風の圧力、座った時の体重荷重やザック接触箇所など
様々な圧力がかかってきます。
そうなると、前述したゴルフボールを指で押すのと同じ事となり、芝生が倒れてしまってゴルフボールが地面まで届くことになる訳です。
ですので、あくまで”撥水”は、2~3分程度くらいの短時間の小雨は凌げます
本降りになると、雨が布地まで届いてしまい、布地全体から染みることとなります。

では、”防水”について
前述した”撥水”のような表面のお話ではなく、“生地自体(蓮の葉・芝生の地面)”に、防水処理をしていたるのですよ。
それも2種類あって、
①表裏両面とも、雨を通さない防水
②表面は雨を防水しつつ、裏面は体からの汗などの蒸気を逃す防水
です。

①に関して平たく言うと、100均一で売ってる(ナイロンやポリエステル素材)レインウェアです。
生地自体が水を浸透させない素材で、ブルーシートみたいなものですね。
で、”一切、水を通さないならそれで良いじゃん!”という方もおられます。
テーマパークの乗り物に座ってるとか、雨天時でコンサートの立ち見などの動かない環境下では問題ないと思います。
でも、テーマパークを走って移動していると、徐々にレインウェア内が湿ってきません?
あれ、ほとんど、自分の汗がレインウェア内に溜まった湿気です。笑

②に関して平たく言うと、”ゴアテックス”やメーカー独自(ドライテックやハイベント、ドライエッジ ティフォン素材)レインウェア。
これらは、雨粒の大きさより小さいけど、蒸気上の水分より大きい穴が無数に空いていることで防水性を高めている素材になります。
ただ、穴が開いていることには違いはないので、”素材自体に圧力がかかる”と水は染みてきます。
“耐水圧表記”はこのこと表している数値になります。
また同時に、”透湿性表記”があると思いますが、身体から発せられる蒸気を逃す数値になります。
“めちゃくちゃ高いゴアテックスの買ったから、汗でビチョビチョにならない!”という方いますが、
厳密には嘘です。
透湿性が高いモノを買っても、その透湿性数値を超えてしまう汗をかいてしまうと、透湿が追いつかなくなりビチョビチョになります。笑
ですが、透湿性が高い商品は、格段に”汗の乾き”は速いので、汗冷えが起こりにくいです。
耐水圧・透湿性が高い程、お値段も高くなるので、自身が使う環境を考慮しながら、購入したほうが良いかと思います。

で、ここからが本題になるのですが、なぜ今回”撥水”と”防水”を一緒に書いたかというと、登山やウルトラウォークのような、長時間・長距離歩く環境下で購入すべきレインウェアは、性能や軽さ、コンパクトさを踏まえると、やはり登山メーカーのレインウェア一択ということです。

これらのメーカーで販売されているレインウェアは、
表面生地に”撥水”加工された生地、その下に”防水”加工された生地、更にその下に肌と接する面には専用生地の3枚(3レイヤー)構造のレインウェアがほとんど。要は、”撥水”性がある表面生地で雨を弾きつつ、”防水”性がある生地で汗などの蒸気を逃し、肌と接する面は専用生地を使って、雨天の行動時であっても快適性を保つということですね。まあ、ゴアテックス生地の傷みを防ぐこともありますが。

あと、レインウェアは”複数の生地”を縫い合わせて制作されています。この縫い合わせは”生地に針を通している”訳です。で、この穴からも雨が侵入するんですけど、これに関しては先に記述した”シームテープ”という防水テープを縫合部分(裏生地)に貼ることで防水性を高めています。

ジッパーに関しても、撥水・止水ジッパーや、風圧・雨水侵入を防ぐフラップなどで防水性を高めています。

これは本当に重要なことなんですが、防水透湿性が低下したからと言って、ホームセンターなどで販売している“防水スプレー”を吹きかける・漬け込む”ことは、絶対にやめてください!
これやっちゃうと、蒸気が抜ける微細な穴を塞いでしまい、高価なレインコートが100均で売っている安物レインウェアに早変わりになってしまいます。

防水透湿性が低下する原因の殆どが、表生地に付着した汚れや継続して使用することで微細な毛が倒れてしまい”撥水”が失われていること、裏生地は汗・皮脂で穴が塞がれて”防水”が失われていることがほとんどなので、まずは洗濯しましょう。
洗濯後は通気が良い日陰で乾かして、表面をドライヤーで軽く熱をあてると毛が立って”撥水”が復活します。それでもの撥水性が乏しい場合は、微細な毛が抜けているので、”撥水(防水じゃないですよ!)”液・スプレーを使用しましょう。
また、可動域から水が染みてくる場合は、シームテープが経年劣化で剥がれていることもなるので、シームテープ貼りなおす修理にだすとか。

まあでも、日本は四季があり湿気が変化する国ですので、加水分解による経年劣化の場合(4~5年位かなぁ)は、新品買っちゃってくださいね。

Profile
けらさん
けらさん

幼い頃から、ゲーム・映画大好き。でも、登山やトライアスロンもやってた、じいさんです。
インドアからアウトドアまで、内容の振れ幅が大きいブログにしたいと思います。

けらさんをフォローする
etcアウトドア
けらさんをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました